独居で抑うつ神経症をお持ちの女性(77 歳)ご利用者様との間で起こったことを紹介します。サービス開始当初は、お話につじつまが合いにくいこと、攻撃的な口調などが多く見られました。認知症の診断はされていませんでしたが、ケアマネジャーや看護師さんからは軽度の認知症があるのではないか、といった意見もありました。ご本人様は体調が悪くなることへの不安が大きく、要介護1 になった時も「車椅子は手放したくない」「(1 年以上休んでいる)デイサービスも今は行っていないが、 何かあった時に利用すると思うから席だけは置いておきたい」と話すこともありました。ときにケアプランの領域からかけ離れたことを要求されることも。なかなか縮まらない距離に、本当に信頼していただくためには、どうすれば良いのだろうと悩むことも多かったです。リハビリのメニューもご本人様が決めたこと以外はさせてもらえませんでした。
そんな時、ユマニチュードの技法を学び、実践してみたのです。すると少しずつ私の目を見てくださるようになり「いつもありがとうな。あんたにはほんとに感謝してる。これからもよろしくね。私、あんたのこと娘みたいに思っているからな。ほんまに大事やと思ってるで」と、何度もおっしゃってくださるようになりました。
今ではリハビリメニューも転倒予防を考え必要な内容を説明し、なごやかな雰囲気の中、楽しく笑い声のある訪問リハビリが行えています。現在は要支援2 へと改善。日々公共交通機関や徒歩で移動し、趣味であるボートレースやお食事に友達を誘って行かれたり、離れてお住まいのご家族と電話でのおしゃべりに加え、数年ごとの再会を楽しんでおられます。
ユマニチュードの4 つの柱や技法は、魔法のようです。これからもユマニチュードの取り組みを継続し、いろんなご利用者様に笑顔が増えることを目指してまいります。
訪問看護ステーション 勤続11 年
訪問看護ステーション
https://www.nanko-hp.com/divisions/nursing-unit/service-homecare
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