第21回「子どもの心」研修会 2日目

2019年7月15日

4.発達に課題のある児に対する性の健康教育
野坂侑子 大阪大学

 

☆発達に課題があるからという理由づけをしない。多くは家族の問題がある。
 

  • わかっていない、理解できないと決めつけない。みんなやっているからちょっとぐらいという言い訳。
  • 安全に失敗する体験を重ねる(「絶対にするな」や、その反対の「痛い目をみなければわからない」ではなく、安心してチャレンジしながら自信をつけていく)。
  • 被害の影響のサインとしての性問題行動(男女ともケアされていない被害体験を多く持っている)。

 

☆認知的発達と性の発達 就学前
 

  • 快の感覚を求める(感覚運動期)→アタッチメント  
  • 自己中心的認知:人前で裸で走り回る  
  • 性的遊びへの対応: 落ち着いてその状況にもっとも関連していることを教える機会にする。

 

☆認知的発達と性の発達 学童期
二次性徴

 

☆認知的発達と性の発達  思春期
二次性徴
同性とのピアな関係  みんながやってるからというプレッシャー。
性嗜好性。

 

急激な身体的成長や変化への戸惑い

 

☆境界線(バウンダリー)の発達 
 

  • 自他をわける見えない境目、自分を守るもの。 
  • 物理的境界線:身体、持ち物、トイレ、部屋。
  • 心理的境界線:気持ち、考え、自分らしさ。
  • 社会的境界線:規則、ルール、マナー。

 

*境界線は変化するもの。*境界線を超えるときには、相手の同意が必要。*境界線は見て学ぶもの。自分の境界線が守られてこそ他者の境界線も守れるようになる。

 

☆12歳以下の場合は、性問題行動と判断する。☆性問題行動の主な背景因子
 

  • 児の脆弱性(発達や言葉の遅れ、衝動コントロールの問題)もあるがそれ自体は原因とはならない。
  • 強制のモデリング(虐待やDV、いじめなど暴力肯定的な価値観)。
  • 性のモデリング(ポルノなどの性的バウンダリーの侵害)がある。
  • 家庭の負因(保護者の指導力の欠如など)。

 

☆性にばかりにこだわらず勉強やクラブなど他への関心もあれば良いのだが、性のことで他のことが手につかないようでは困る。

 

☆被害体験の影響
被害体験 虐待、DVの目撃、いじめ
トラウマ反応(被害の影響)  あたまにうかぶ、話せない、不安、自己否定、他者不信、怒り、

 

☆支援プラン
本人の背景にあるニーズを理解する。気持ちさえ言えれば行動化は落ち着いてくる。
ストレングス強みに着目し活用する
モニタリングは不可欠
子どものバウンダリーを守る

 

☆生活体験から学ぶ
生活のなかの気持ち
体験から学ぶ

 

☆環境調整
☆安全安心な環境づくり

 

5. 笑いの効能  子どもの健康と笑い
関西大学、日本笑い学会、社会学者 井上宏

 

  • 人間が生まれて初めて微笑む時があり、笑いは潜在的に生まれついて持っていると考えている。笑いは必要だからこそ進化の過程で受け継がれてきた。環境、時代、教育などを受けて多様化する。
  • 人は絶対にひとりでは生きてはいけない。笑いは仲良く生きていくために必要なもの。
  • 笑いは楽しみを与えてくれるもの、辛さを忘れさせてくれるもの。
  • ストレスホルモンやNK細胞の活性化など、笑いは健康との関連もある。

 

赤ちゃんが0歳なら、ババとママも0歳。一緒に成長していきましょう。

 

6.  思春期の発達障害の理解と支援を考える
慈圭病院医学研究所  青木省三

 

  • 思春期の発達障害と思われる子どもが、友達にからかわれたりいじめや孤独感から自信を失くしてひきこもりになることが多い。すると生きている世界が狭くなり家族と些細なことで争いが増える。同級生が自分のことを話しているような感じと言う(被害妄想)。怖い声が聞こえると言い始める(幻聴)。→統合失調症と診断されてしまいやすいが、原因の根幹は環境にある。

 

☆担任や友人、先輩などから認めてもらうことで自尊心を育み、大きく成長することもある。
☆苦手を得意に反転する就労支援や居場所さがし。

 

7.  子どもの学習を考える
藍野大学看護学科教授 若宮英司

 

☆言葉の力が学習に影響する

 

☆発達性ディスクレシア(読みの障害)
 

  • アルファベット語圏では3~12%の高頻度だが、日本での調査では3.3%とされる。
  • 数概念: 数量、数詞、数字。3つの要素は関連している。

 
☆学校の仕組みにのっていく。学習する姿勢の獲得  低学年

 

  • 知的水準が学習に影響する。学習到達度と社会適応の関係を見直してみる。
  • 協調運動が学習に影響する。字が乱雑、姿勢が崩れやすい、球技や器械体操が苦手。
  • 不注意が学習に及ぼす問題点。行動で気づかれる。ボーっとしている。忘れ物が多い、時間の管理が苦手、気が散る、繰り返し練習の成果が期待できない。学習が積み上がらない。
  • 常識を形作る。

 
☆援助を考える  直接学習を指導するのではない。注意力と集中力が高まる環境を整えるアドバイスをする。自己認識を育てること。何が苦手なのかを知ってもらい将来は自分自身でできるように。

 

  • 学習環境:気が散らないような環境。例えば、一般的な学習机よりもシンプルな食卓や塾の机の方が集中できる。
  • 準備の援助
  • 時間の統制:スケジュールを立てる。
  • 注意力を上げる工夫:見ててあげる。

 
私の場合は、まず机や部屋を綺麗にしてから試験までのスケジュール表を作ってというこだわりがあった。


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